医療福祉の税務情報
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文書作成日:2023/04/15


 医業であっても、インボイスの交付を求められる場合があります。インボイス制度について、概要をおさらいしましょう。


 売手から買手に対して、消費税の適用税率、消費税額等を正しく伝えるために交付する、一定の事項を記載した書類・電子データのことを“インボイス”といいます。

 このインボイスは、インボイス発行事業者でなければ交付することはできません。

 インボイス発行事業者になるには、事前に申請を行う必要がありますが、消費税の申告納税を行う事業者(以下、課税事業者)でなければ申請をすることはできません。


 買手にとってインボイスが必要となるのは、買手の消費税計算において、本則課税を適用している場合です。インボイスの保存がなければ、本則課税での計算上、原則、仕入税額控除として課税売上げに対する消費税額から控除することができないからです。一方、インボイスが不要な者は次のとおりです。

【インボイスが不要な者】
  1. 一般消費者
  2. 消費税の申告納税を行わなくてよい事業者(以下、免税事業者)
  3. 課税事業者のうち、簡易課税制度を選択適用している事業者(簡易課税制度は、仕入税額控除を適用して消費税の納税計算を行わないため、インボイスの保存が不要)

 他方、インボイス発行事業者である売手は、課税事業者である買手からの求めに応じて、インボイスを交付する義務が生じます。また、交付したインボイスを保存しなければなりません。


 医業の場合、患者に対する診療や治療に対する報酬について、基本的には患者からインボイスの交付を求められることはないと考えてよいでしょう。

 ただし、次のような請負等に係る報酬については、買手側からインボイスの交付を求められる可能性があります。

  1. 企業から請け負った、社員の健康診断や予防接種、業務上必要な検査など
  2. 企業の産業医や顧問として、医療法人が受け取る報酬

 また、医業でなく、サイドビジネスなどで消費税が課税となる企業向けの物販や不動産賃貸などによる収入がある場合にも、インボイスの交付を求められる可能性があります。

 なお、免税事業者であってインボイス発行事業者となるには、課税事業者となる必要があります。インボイス発行事業者である間は、たとえ基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えなくとも、課税事業者となり続けます。つまり、消費税の申告納税を行う必要があるため、納税や事務負担が生じることとなります。免税事業者の場合には、インボイス発行事業者となるか否かの選択は、慎重に行う必要があります。

参考:国税庁HP「特集 インボイス制度」など


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