お金に困らないための〜税金の相続対策
お金に困らないための〜税金の相続対策
文書作成日:2022/07/05


 2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられましたが、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度の適用はどうなりますか?




 今年(2022年)4月に高校3年生になった孫は、高校卒業とほぼ同時に結婚することになりました。結婚相手は20代前半で二人とも経済的な余裕がないため、将来のことも考えてある程度まとまったお金を渡したいのですが、多額のお金が手元にあるのも問題であることから、『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』を利用して、信託受益権を付与するかたちで支援しようと思います。この場合、孫は『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』を適用することはできるのでしょうか。
 孫は2004年7月生まれで、当該契約は今年9月に行う予定です。




 2022年4月1日以後の『結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度』における受贈者の年齢要件は、結婚・子育て資金管理契約締結の日において“18歳以上50歳未満”となります。予定通り9月に契約された場合には、契約締結日においてお孫さんは18歳に該当することから、その他の要件を満たす場合には、当該制度の適用を受けることができます。


1.結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは

 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度とは、結婚や子育て資金に充てるために父母あるいは祖父母から一定の方法で資金の贈与を受けた場合に、1,000万円を限度として贈与税がかからない制度です。

 その特徴としては、主に以下のとおりです。

  • 金融機関等との一定の契約に基づく贈与であること
    (具体的には、結婚・子育て資金口座の開設等を行った上で、結婚・子育て資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出等するなど所定の手続が必要となります)
  • 非課税として認められるには、支払いに充てた領収書等を金融機関等に提出する必要があること
  • 非課税として認められる支払使途は、挙式費用、家賃、転居費用、妊娠、出産、育児に関する一定のものに限られていること
  • 年齢が50歳に達したなど、契約期間が終了した時点で残額がある場合には、その残額は贈与税の対象となること
  • 契約期間中に贈与者が死亡した場合で残額がある場合には、相続税の対象となること
2.成年年齢引下げに伴う改正

 受贈者の年齢要件は、今般の改正があるまで、結婚・子育て資金管理契約締結(以下、契約締結)の日現在において、「20歳以上50歳未満」に該当するか否かで判定をしてきました。

 これが民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、年齢要件の下限が「18歳」へと改正されて、「18歳以上50歳未満」であるか否かで判定することとなりました。

 この改正は2022年4月1日以後の贈与から適用となるため、2022年中の贈与はこれまでの判定要素に加え、契約締結日における受贈者の年齢要件が4月以降と3月以前とで異なるため、注意する必要があります。

3.ご相談のケース

 ご相談のケースは、契約締結を9月に行う予定とのことでした。お孫さんは2004年7月生まれ、とのことですから、予定通りに行った場合には、契約締結日現在の年齢は「18歳」となります。受贈者の年齢要件を満たすこととなるため、その他の要件をすべて満たす場合には、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度を適用することができるものと考えます。

 なお、民法の成年年齢の引下げにあわせて、経過措置を除き、女性の婚姻年齢が「16歳以上」から「18歳以上」に引き上げられています。その点もあわせてご確認ください。

 贈与税の計算に関するご相談は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。


<参考>
 国税庁HP「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」、「民法の改正(成年年齢引下げ)に伴う贈与税・相続税の改正のあらまし」PDFなど


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