医療福祉の税務情報
医療福祉の税務情報
文書作成日:2021/09/15


 コロナ禍で、様々な支援金が国等から給付されています。売上減少を補填する目的の給付が多くありますが、“次への一歩”のための事業転換等で生じたコストを補填する目的の補助金も存在しています。例えば、「事業再構築補助金」です。第1回の公募に関して採択結果が同サイトで公表されていますが、採択された業種の中に「医療,福祉」業も含まれています。採択された事業計画のいくつかをご紹介しながら、事業再構築補助金の収益計上について、この補助金を利用して固定資産を取得した場合の税務上の取扱いを確認します。


●事業再構築補助金とは

 事業再構築補助金とは、「事業再構築補助金」のサイトによれば、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する目的で作られた補助金です。

●補助対象者

 事業再構築補助金を申請することができる者は、原則、日本国内に本社を有する一定の中小企業者等及び一定の中堅企業等に該当する者です。
 この場合の“一定の中小企業者等”とは、主に次の@及びAをいいます。

@業種ごとに定められた資本金又は従業員数(常勤。以下同じ)以下となる会社(大企業の子会社等一定の会社を除く)又は個人

…医療,福祉業の場合は『その他の業種』に該当し、上記資本金は3億円、従業員数は300人と考えられます。
 

A法人税別表第二に掲げる法人又は一定の企業組合等若しくは、法人税法以外の法律により公益法人等とみなされる法人(従業員数300人以下に限る)

…社会医療法人、社会福祉法人、従業員数300人以下の社会医療法人以外の医療法人等が該当すると考えられます。
 

 また、“一定の中堅企業等”とは、上記“一定の中小企業者等”に該当しない、資本金が10億円未満又は資本金がない場合には従業員数2,000人以下の一定の会社等をいいます。

●補助対象事業の類型

 第3回の公募での補助対象事業としては、以下の6つの類型があります。
 それぞれ、要件や補助金額、補助率、補助対象経費等が異なります。

  • @ 通常枠
  • A 大規模賃金引上枠
  • B 卒業枠
  • C グローバルV字回復枠
  • D 緊急事態宣言特別枠
  • E 最低賃金枠
●第1回採択事例ー「事業計画の概要」

 「事業再構築補助金」のサイトで、“日本標準産業分類毎における「事業計画の概要」”として、とりまとめられた『医療,福祉』の件数は、163件ありました。うち、「通常枠」が98件、「卒業枠」が2件、「緊急事態宣言特別枠」が63件となっています。
 採択を受けた「通常枠」と「緊急事態宣言特別枠」より、事業計画の概要をいくつかご紹介します。

「通常枠」

○地域一番クリニックを実現するCT画像診断、乳腺超音波検査等の新分野展開
 CT画像診断を行うための「画像診断装置(64列マルチスライスCT)」、「画像サーバー」、「超音波画像診断装置」および「内視鏡機器」を導入し、超高齢社会により多様化する地域の医療ニーズへの対応に資する新分野の診療に展開します。

○歯科治療にオンライン診療を導入した新分野展開への挑戦
 地域住民に向けて歯科治療の提供を行っていた当院は、今般の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、新たな診療方法である「オンライン診療」を歯科医療分野に導入する。この実施により患者は安全な治療継続が実現し、オンラインを活用することで若年層の顧客獲得へと繋げ、売上回復を図る。

○地域の在宅介護を支える拠点となる。コロナ禍でも継続可能な看多機運営事業
 コロナ禍により通所介護事業所は利用控えが顕著で、万全なコロナ対策をとっても以前の状況には戻らない。新たな介護・医療ニーズに応えるため「看護小規模多機能型居宅介護事業」に参入し、既存ノウハウを活かした地域在宅介護への貢献を行う。

「緊急事態宣言特別枠」

○歯科医が運営する最先端の歯科技工サービス
 セラミック医療システム「セレック」を利用し、歯の被せ物・詰め物を行う歯科技工サービスを提供する。自由診療事業の市場規模が急激に縮小する中、当歯科医院の強みを活かして収益源の多角化を図り、収益性の高い歯科技工の分野へ進出したい。本事業再構築を通し、2021年7月までに新規事業を開始し売上を伸ばし、2025年には新規事業の本格的な拡大により、法人全体での売上高3億円、経常利益1億2600万円を目指す。

○高齢者向けの弁当、惣菜の製造販売事業
 コロナの影響のため活用の幅が縮小しているデイサービス施設の改修工事を行い、飲食物の提供ができるように、厨房設備を導入する。主要なターゲットは、デイサービスの利用者で、弁当やお惣菜を購入していただく。将来的には、イートインスペースも用意して、その場で食事をしながらの“交友の場”も提供する。


 事業再構築補助金を受け取った場合には、原則として収益として計上する必要があります。
 収益として計上する際に、事業再構築補助金の交付対象となった補助対象経費のうちに固定資産が含まれている場合には、例えば法人であれば、「国庫補助金等に係る圧縮記帳」の適用を受けることができます。
 この「国庫補助金等に係る圧縮記帳」とは、法人が補助金の収入金額のうち一定の限度額までを固定資産の取得価額から直接減額等の経理処理をすることで、一時的な課税の繰り延べを行うことができます。

 これは、所得税(個人事業)においても同様の取扱いとなるような処理を行うことができます。

 なお、事業再構築補助金については、消費税は「不課税取引」として取扱います。

 事業再構築補助金は、公募時期によって、類型や要件等が変動する場合があります。事業再構築補助金の詳細は、「事業再構築補助金」のサイトでご確認ください。


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